わたしが世界を創造する
自分の意識が世界を創造している。言い換えれば、世界は自己意識の反映である。
これが本当のことだと腑に落とすには、ちょっとした技が必要です。
まずは自分の感情にフタをしないこと。人間が持つ豊かな感情こそ、気づきのカギとなるからです。表層的な感情の下には、抑圧しているものがあり、さらにその下に、見たくない澱のような深層部があり、最下層部に・・・調和・統合があります。
この調和・統合へと至るためには、やはり個人的な経験をキーとして、感情をひもといていく必要があるんですよね。人は「見たくない澱のような深層部」に至ることが怖くてなかなか感情に向き合うことができないのですが、見る価値はあります。本当の自分を知ることに繋がるからです。
自分で感情にうまく向き合えない場合は、セラピストさんのサポートを得たりするんだと思うのですが、最終的にそこに対峙して解消していくのは自分です。感情を見ていく過程で辛い思いをしたり、びっくりするような過去の記憶を蘇らせたりしないといけなかったりと、なかなかハードだと思います。でも、そこが頑張りどころで、持っているものが軽ければ「知る・納得する」だけで解消できる場合もあるでしょう。
もっと深い部分と結びついている感情の場合は「知った」あとに、何らかの「気づき」も必要となります。それが手放しと言われているもので、それがもう必要ないと自分でしっかり気づくことで、大きな手放しに繋がります。すると感情そのものが解消され、もはや感じなくなる。その過程でわかるのは、魂の来歴、クセやテーマだと思います。それらを知ることで思いグセを修正したり、対人関係に活かしたりできるようになります。すると人生が次のステップへと進んでいきます。
私自身の経験では、感情を深い部分まで見ていくなかで面白い気づきがありました。
居心地の悪い感情の源にあるのは、個人的な見方や経験のようでありながら、実際は自分を縛っている観念そのものが社会通念に影響されたものであることが多いということです。育った環境や「・・・であるべき」という社会的な常識とか通念に意外と影響を受けているんだなと。私はなぜか親の価値観にはほとんど影響を受けずに育ちました。というか、若い頃から親の価値観と自分の価値観があまりに違ったため、一線を引いて、そこに引っ張られないようにしていたんですよね。親よりも書物から多くの価値観を学びました。
今は、人生の半分くらいをすでに日本以外の国で過ごしているので日本的な価値観の呪縛から逃れているはずなのですが・・・やはり気づかないうちに身に染みている価値観というのはあると感じています。生まれ育った国の影響は強い。そういう意味で今の日本で暮らしている皆さんは、自己価値を知ることがなかなか難しい環境にいらっしゃると思います。
昔、吉本隆明さんが「共同幻想」という概念を打ち出しましたけど、まさに私たちは共同幻想の中に生きているんですよね・・・。わかりますか? 私たちの意識が共同幻想に合意しているから、現在の世の中が現出しているんです。本当は人の数だけ世界があるのにね。
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最近は、こういった感情を見ていく丹念な作業をひとっ飛びに通り越し、“外科手術的な”手法で「なかったことにする」技もあるみたいですね。わざわざ辛い過去を思い出して泣いたり落ち込んだりして、自分を痛めつける必要はないというわけです。もっとスマートにアセンションしようよ、と。
何を選択するかは、それぞれのお好みです。私自身は、この手法はある種の効力を発揮するかもしれないが、本質的な解決には至らないと見ています。なぜなら人間の経験こそ、この世で最も尊いものであり、神聖なものであり、その一つひとつの経験があなたの宝であり、そこにこそ人生の意味があるのだから。外科的にエネルギーを操作して「なかったことにする」って、誤解を恐れずに言えば霊的なロボトミーであるとも感じています。
結果を重視するあまり、プロセスを軽視してはいないか? 本当はプロセスにこそ、意味があるのではないでしょうか。人々の意識が軽くなることで地球のアセンションが促されると言われていますが、地球もフェイクは好まないと思うんですけどね・・・。
「過去は変えられる」とも言います。「過去の書き換え」と言われる技です。これも今ひとつピンとこないのですが、もしかすると「あったことをなかったことにする」ということではなく、「出来事への自分の見方を完全に変えることで、その出来事が全く違った経験になる」ということなのかなと思います。つまり、意識を変えることで、起こっていることが180度違う経験になりうるということ。
「過去の書き換え」のベースにあるのは「存在するのは『今』だけで、過去も未来も揺らいでいるという宇宙的な概念がもあると思うのですが、これに照らし合わせると「なかったことにする」というのも可能なのかと思いますが、それを実行するにも、やはり「今」の気づきが鍵となりそうです。
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自分の意識が世界を創造している。
感情を手放し、気づきを重ねることで、その真意が見えてくるはず。